岡本太郎を失ってひとりになったとき、ぼくたちの心配をよそに、岡本敏子は気丈でした。
太郎を次の時代に伝えるのが私の仕事。そう言って、すぐさま行動を開始します。
真っ先に取り組んだのが記念館の開設とTARO賞の創設でした。
このふたつを実行するために財団法人を設立し、あの小さい体で残された9年を駆け抜けたのです。
こうして生まれたTARO賞も、おかげさまで20年を迎えました。
敏子が手づくりではじめた小さな試みが、いまでは現代芸術のアワードとして広く認知されるまでになりました。
第20回までの入選者はじつに410名(組)に上ります。なにより嬉しいのは、入選作家たちがその後めざましい活躍を見せてくれていること。
それがこの賞の意義と価値を支えているのだと思います。
TARO賞20年を記念して、20人の鬼子たち≠ェ一堂に会する展覧会をつくりました。
いずれも一筋縄ではいかない作家たちですから、立ち現れるのはカオスでしょう。
唯一無二の濃密なアート空間です。 |