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コラム

空間メディア入門

3-26情報連鎖の誘発を狙う

2012.12.27

 

 さて、それではいよいよ最後です。戦略と心構えの三つ目は「伝えたら終わり≠ニ考えない」、すなわち「情報連鎖の誘発を狙う」ということ。
 新しい情報感性を手にした観客は、もはや情報を吸い取るだけの吸音材≠ナはなく、受け取ったら反応する反射板≠フような存在です。だから観客を一種のメディアと考えるくらいでちょうどいい。
 実際、サンプリングやイベントをやるとその後にネットの書き込みが大きく増えますし、最近では、企業がプロモーションイベントに力のあるブロガーを招待したり、協力要請≠オたりすることが当たり前になっていることもご存知の通りです。
 いかにして情報を連鎖させるか。すなわち、どうやってクチコミ、ネットコミを活性化させるか。これは空間メディアにおいても重要な課題のひとつです。いまやあらかじめメディアを跨ぐ情報連鎖を仕込んでおくべき時代なのです。
 最近、「クロスメディア」という言葉よく聞きますが、それがまさにこの発想です。クロスメディアとは、複数のメディアをリレーのようにつなぎながら、次々と情報を戦略的に連鎖させていくこと。たとえば、「中身をあえてブラックボックスにしたイベントの開催告知を新聞広告や交通広告で」→「期待を盛り上げる記事広告を雑誌に掲載」→「インパクトのあるイベントを実施」→「マスメディアでのパブリシティとクチコミを誘発」→「サイトでイベントのメイキング映像を放映」→「ネット上での反響を喚起」といったように、戦略的に練られたシナリオに沿ってメディアを乗り換えながら情報を連鎖させていくわけですね。
 これは、以前流行った「メディアミックス」とは少し違います。メディアミックスは、メディアごとにそれぞれの役割を与えることで、ターゲットに効果的にメッセージを届けようとの発想でした。一言でいえば、「情報ソースをいかに効率よく配分するか」についての戦略です。
 これに対してクロスメディアはメディアの連鎖をひとつのストーリーにつなげようとする考え方です。空間メディアはクロスメディアの節目として、実に大きな力を発揮します。「リアルな空間」という他のメディアにはない武器を手にしているからです。

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