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コラム

空間メディア入門

2-26バードウォッチングのように

2012.09.24

 二番目の「探索の場」にするために、空間全体を「森」のイメージで構成しました。日本デザインの秘密を見つけるために、観客の一人ひとりが森の中に分け入っていくイメージです。  森では目の前には木々が立ち並び、上を向けば空が、足元には草花があるように、アイレベルには展示造形が、床上には展示物が、中空には映像が浮んでいます。情報の塊が空間の中に浮遊していて、観客は館内を巡りながらそれをすくい上げ、自分なりの文脈を組み立てるわけですね。  たとえて言うなら、テレビ視聴ではなくバードウォッチング。否応なく身体感覚を発動しなければならない環境になっている。  いま中空には映像が浮かんでいると言いましたが、それがこれです。展示室の中央に吊られた15面のスクリーンに、移り変わる四季の中で培われた自然観、固有の文化が熟成した美意識、古くから大切にしてきた好みなど、現代のモノづくりまで続く日本の美や自然が映像詩となって映し出されています。  モノでは表現できないバックグラウンドをわずかでも伝えたいと思いました。わかってもらうところまでは無理だとしても、背景の存在だけでも知って欲しい。  実は、このスクリーンは特殊なシースルー性能をもっていて、映像面の奥にある空間も透けて見えるんです。しかも、スクリーンの裏側に回っても映像が映っている。先ほどのデザイナーの映像パネルも同じく裏からも見える。要するに裏表がないんです。  つまり、空間のどこにいても、あらゆる展示が重なって見えている。情報が三次元で積層しているわけですね。展示室の一番奥には日本の最新プロダクトが壁一面に広がっているんですが、たとえば、先ほどお話したテーマゾーン「DNAの森」に立つと、15本のDNAタワーの奥には最新のデザイン動向が見えているし、手前にはデザインマインドを培ってきたバックグラウンドが見えている。情報が空間上で連鎖している。  そうしたカテゴリーの異なる情報の存在を意識することで、観客が自分で連想を広げていけるようになっているわけですね。これが三番目のコンセプトです。

 

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